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食器のこと2026.10.09

カップとソーサーのサイズの選び方|受け皿の径とくぼみの合わせ方

カップとソーサーのサイズの選び方|受け皿の径とくぼみの合わせ方

気に入ったカップに、手持ちのソーサーを合わせてみたら、カップが受け皿の上で滑る。あるいはくぼみに収まらず、少し浮いて傾く。カップとソーサーは「だいたい合う」ように見えて、実際に運んでみると合っていないことがよくあります。

カップとソーサーのサイズで見るべきところは、実は多くありません。カップの底(高台)の径と、ソーサーのくぼみの径。 この2つの関係がほぼすべてを決めます。外径や縁の高さは、その次です。

この記事では、カップとソーサーのサイズの選び方を、くぼみ・外径・縁の高さの順に整理します。別々に買って組み合わせるときの測り方と、店で毎日回すときの確認点もまとめました。

カップとソーサーのサイズは「高台の径」と「くぼみの径」で決まる

ソーサーは受け皿です。講談社『食器・調理器具がわかる辞典』は、コーヒーカップについてソーサー(受け皿)と対になっている、と説明しています(出典:コーヒーカップ|コトバンク)。もともとセットで設計されるものなので、別々に揃えるときに合わなくなるのは自然なことです。

合うかどうかを決めるのは、次の2つの数字です。

  • カップの高台の径:カップを裏返したとき、テーブルに接している輪の外径
  • ソーサーのくぼみの径:ソーサーの中央で、カップを受けるために一段下がっている部分の内径

この2つの差が、そのまま「遊び」になります。遊びが小さすぎるとカップが入らず、浮いて傾きます。大きすぎると、運ぶときにカップがくぼみの中で動き、液面が揺れます。私たちが器を合わせるときは、くぼみの径が高台の径より数ミリ大きい程度を目安に見ています。指で軽く押してカップが少し動き、手を離すと落ち着く。その感触が目安です。

注意したいのは、カップの「口径」とソーサーの「くぼみ」は無関係だということです。口の広いカップでも高台は小さいことがあり、口の狭いカップでも高台が広いことがあります。合わせるのは口ではなく底です。

ソーサーの外径はカップの口径とのバランスで見る

くぼみが合ったら、次はソーサー全体の大きさです。

外径がカップに対して小さすぎると、受け皿の役目を果たしません。垂れたしずくを受けきれず、スプーンを置く場所もなくなります。逆に大きすぎると、テーブルの上で場所を取り、器全体が間延びして見えます。

見るときの考え方は3つです。

  1. カップの口径より一回り大きい:真上から見たとき、カップの縁の外側にソーサーの平らな面が見えている状態
  2. スプーンを置く余白がある:砂糖やミルクを入れる飲み方が多いメニューなら、スプーンが落ちずに乗る幅が要る
  3. 取っ手の分を見込む:取っ手のあるカップは、取っ手がソーサーの外にはみ出さないかを見る

エスプレッソやデミタスのような小さいカップは、カップが軽いぶんソーサーの存在感が相対的に大きくなります。小さいカップの選び方は エスプレッソカップの選び方 と デミタスカップとは に書きました。

くぼみの深さと縁の高さが運びやすさを決める

径が合っていても、くぼみが浅すぎると、カップはすぐに滑り出します。カップとソーサーのセットで運ぶ店ほど、ここが効きます。

  • くぼみの深さ:深いほどカップは安定しますが、深すぎると高台の形によっては底が当たらず、縁だけで支えることになり不安定になります
  • ソーサーの縁の立ち上がり:縁が少し立ち上がっていると、こぼれたしずくが外に流れにくい。平らなソーサーは見た目が軽やかなぶん、しずくを受け止めにくくなります
  • ソーサーの表面の仕上げ:釉薬がつるりとした光沢だと、カップの高台との間で滑りやすい。マットな釉薬は摩擦がわずかに増えます

運ぶ距離が長い店、カウンターから客席まで段差がある店では、くぼみが深めで縁が立ち上がったソーサーのほうが事故が減ります。一方で、カウンター越しに手渡すスタイルなら、平らで軽やかなソーサーも選べます。

別々に揃えるときの測り方

既製品のカップに別のソーサーを合わせる、あるいは手持ちのソーサーに新しいカップを合わせる。店ではよくある場面です。カタログの寸法表には高台の径やくぼみの径が書かれていないことが多いので、実物で測ります。

  1. カップを裏返して高台の外径を測る:定規かノギスで、輪の外側から外側まで
  2. ソーサーのくぼみの内径を測る:くぼみの段差の内側から内側まで。段差がなだらかな場合は、カップを実際に置いて止まる位置を確かめる
  3. 実際に液体を入れて運ぶ:水を8分目まで入れて、カウンターから席までの距離を歩いてみる。ここで揺れるなら、数字が合っていても運用では合っていません

写真と寸法表だけでは、この3つ目の確認ができません。CAFORAの器も、カタログの数字だけで決めずに済むよう サンプル で実物の大きさと重さ、置いたときの座りを確かめられるようにしています。

焼き物のカップとソーサーは「合わせて設計する」もの

ここからは、器をつくる側の話です。

陶磁器は焼成で縮みます。私たちの器ではおよそ11%。カップとソーサーを別々に焼けば、それぞれが同じように縮むとは限りません。土の種類や形、窯の中の置き場所によって縮み方がわずかに変わるので、図面の上で合っていても、焼き上がりで遊びが変わることがあります。

そのため、カップとソーサーをセットでつくるときは、片方の寸法を先に確定させてから、もう片方を合わせる順番で進めるのが現実的です。基準にするのはカップの高台です。カップは飲み心地と容量で形が決まり、動かせない部分が多いからです。容量の決め方は コーヒーカップの容量の目安 にまとめました。

私たちは3D陶器プリンターで試作を回しているため、型を起こす前に、実物のカップを試作のソーサーに置いて座りを確かめられます。数字ではなく、置いて、運んで、決める。カップとソーサーのような「組み合わせで成り立つ器」ほど、この工程が効きます。

店で毎日使うときに確認すること

最後に、営業で回すときの確認点です。

  1. 重ねられるか:ソーサーはカップより数を重ねて保管します。重ねたときにくぼみ同士が噛み合って安定するか、取り出すときに引っかからないか。収納の考え方は カフェの食器収納 に書いています
  2. 食洗機のラックに立つか:外径が大きすぎるソーサーは、業務用食洗機のラックに収まらないことがあります
  3. 欠けやすい場所:ソーサーの縁とくぼみの段差は、重ねたときや洗うときに当たりやすい場所です。食洗機での欠けを減らす選び方は 食洗機で欠けにくい業務用食器の選び方 をどうぞ
  4. カップとソーサーの数のバランス:ソーサーは割れにくいぶん、カップが先に減ります。補充のときに同じカップが手に入るかも確かめておきます

よくある質問

Q. カップとソーサーは同じメーカーで揃えないといけませんか その必要はありません。高台の径とくぼみの径が合っていれば、別々のメーカーでも組み合わせられます。実物を置いて、液体を入れて運んで確かめてください。

Q. ソーサーのくぼみが合わない場合はどうすればいいですか くぼみが小さくて浮く場合は、そのままでは使わないほうが安全です。くぼみが大きすぎる場合は、運ぶ距離が短いメニューに限って使う、平らなソーサーに切り替えるなどの運用で調整します。

Q. 取っ手のないカップにもソーサーは必要ですか 必須ではありません。両手で包んで飲む器は、ソーサーなしで出す店も多くあります。しずくを受けたい、運びやすくしたいときは、くぼみのない平らな皿を合わせる選び方もあります。

Q. ソーサーは何枚用意すればいいですか カップと同じ数が基本です。ただしカップのほうが先に割れることが多いので、カップの補充分を厚めに見ておくと、セットが揃わなくなる事態を避けられます。

まとめ

カップとソーサーのサイズは、カップの高台の径とソーサーのくぼみの径で決まります。くぼみが高台より数ミリ大きい程度を目安に、外径はカップの口径とスプーンの置き場から、くぼみの深さと縁の高さは運ぶ距離から決める。別々に揃えるなら、測って、置いて、液体を入れて運んで確かめる。

器は単体でなく、組み合わせと運用の中で完成します。その考え方は バリスタ目線で考える、理想のラテボウル にも通じています。

CAFORAは、瀬戸・美濃焼の技術と強化土で、バリスタが届けたい一杯から器を設計しています。ラテボウル 温 -ON-・拡 -KAKU- は、サンプル1点から実物の径と重さを確かめられます。

CAFORA