デミタスカップとは|容量・サイズの目安とエスプレッソカップとの関係

器のカタログを見ていると、「デミタスカップ」と「エスプレッソカップ」が並んで載っていることがあります。どちらも小さいコーヒーカップで、写真だけでは違いが分かりません。何が違うのか、店ではどちらを揃えればいいのか、迷った経験はないでしょうか。
結論から書きます。デミタスカップは「小型のコーヒーカップ」という大きな呼び名で、エスプレッソカップはその中に含まれる、エスプレッソのために形を詰めた器と考えると整理できます。名前が違っても、選ぶときに見るべき点はほぼ同じです。
この記事では、デミタスカップとは何か、容量とサイズの目安、エスプレッソカップとの関係、そして小さい器ならではの扱い方を整理します。後半には、私たちが小さいサイズの器を設計しようとして分かったことも書きます。
デミタスカップとは|「半分のカップ」という意味
デミタス(demitasse)は、フランス語の demi(半分)と tasse(カップ)を合わせた言葉です。辞書でもこの意味が確認できます。デジタル大辞泉は「《半分の茶碗の意》コーヒー用の小型カップ。また、それについだコーヒー。主に食後に飲む」と説明しています(出典:デミタス|コトバンク)。
ポイントは2つあります。
- 器の名前であり、飲み物の名前でもある:デミタスはカップそのものを指すと同時に、そのカップに注いだ濃いコーヒーも指します
- 用途は食後の濃いコーヒー:講談社『食器・調理器具がわかる辞典』は、主に食後の濃いコーヒー(エスプレッソなど)を飲むのに用いる、と説明しています(同上)
つまりデミタスカップは、特定の形や寸法の規格名ではありません。「普通のコーヒーカップより小さいもの」をまとめて呼ぶ言葉です。だからメーカーによって、同じ「デミタス」でも容量や形にかなりの幅があります。
デミタスカップの容量・サイズの目安
では「半分」とは何の半分なのか。同じ辞典の「コーヒーカップ」の項目では、コーヒーカップの容量は150mlが標準で、半分程度の大きさのデミタスもある、と書かれています(出典:コーヒーカップ|コトバンク)。
ここから、デミタスカップの満水容量はおおむね70〜90ml前後が中心と考えておくと、カタログを見るときの物差しになります。私たちが器を設計するときに置いているメニュー別の目安と並べると、次のようになります。
器 | 液量の目安 | 満水容量の目安 |
|---|---|---|
デミタス/エスプレッソ | 25-40ml | 60-90ml |
マキアート | 40-60ml | 90-120ml |
一般的なコーヒーカップ | 120-150ml | 150-200ml |
カプチーノ | 150-180ml | 200-250ml |
液量に対して器が2倍以上あるのは、抽出を受け止める余白と、香りをためる空間が要るからです。容量の考え方そのものは コーヒーカップの容量の目安 に詳しく書きました。
注意したいのは、カタログの容量表記が「満水」なのか「適正量」なのかが器によって違うことです。小さい器ほど数字が小さいので、10mlの読み違いが体感に直結します。可能なら実物に水を注いで測ってください。CAFORAの器も、写真や数字だけで決めずに済むよう サンプル で実物の大きさと重さを確かめられるようにしています。
デミタスカップとエスプレッソカップの違い
辞書の定義から分かるように、デミタスカップは「小型のコーヒーカップ」全般の呼び名です。一方、エスプレッソカップは、エスプレッソという一つのメニューに合わせて形を詰めた器です。
デミタスカップ | エスプレッソカップ | |
|---|---|---|
言葉の範囲 | 小型のコーヒーカップ全般 | エスプレッソ用の器 |
想定する中身 | 食後の濃いコーヒー全般 | エスプレッソ(シングル・ダブル) |
形の傾向 | 細身・装飾的なものも多い | 厚手・内径を絞った形が多い |
選ぶときの軸 | 見た目と用途の幅 | 温度とクレマの見え方 |
実際の売り場では、ほぼ同じ器が「デミタス」とも「エスプレッソカップ」とも呼ばれています。呼び名で選ぶのではなく、何を、どんな温度で、どう見せて出したいかで選ぶのが確実です。
エスプレッソに絞った器の条件は エスプレッソカップの選び方 に、厚み・リム・クレマの見え方まで分けて整理しています。デミタスをエスプレッソ用に使うなら、こちらの基準がそのまま当てはまります。
小さい器ほど温度に気を配る
デミタスカップでいちばん効くのは、実は形よりも温度の扱いです。
液量が30ml前後しかない一杯は、それを取り囲む器と空気の影響を強く受けます。ラテなら200mlの液体が持つ熱で器の冷たさを押し返せますが、30mlにはその余力がありません。冷えた器に注げば、最初の数秒で器に熱を奪われます。
- 提供前に温める:カップウォーマーがなければ、湯通しを手順として固定する
- 厚手の器は、温めて初めて効く:器の質量が熱をためる側に回るのは、温めてあるときだけ。冷えた厚手の器はむしろ熱を奪う
- 内径を広げすぎない:液面が広いと上からの放熱も増える
器の厚みが温度と口当たりに何をするかは コーヒーカップの厚みで何が変わるか にまとめました。
ソーサーと運用で確認すること
デミタスカップは、ソーサー(受け皿)とセットで出す場面が多い器です。辞典の「コーヒーカップ」の項目にも、ソーサーと対になっていると書かれています。小さいカップほど、ソーサーとの相性が運びやすさを左右します。
- くぼみに収まるか:カップの底がソーサーのくぼみにきちんと座るか。小さいカップは軽いぶん、運ぶときに滑りやすい
- スプーンの置き場:砂糖を入れて飲む人が多い器なので、スプーンを置く余白があるか
- スタッキング:小さい器は数を多く持つので、重ねたときに縁が当たらないか
- 食洗機・電子レンジ対応の表示:家庭用の器を業務で回すと欠けが早く出る
ソーサーの径とくぼみの合わせ方は カップとソーサーのサイズの選び方 で詳しく書いています。
小さいサイズの器をつくるときに起きること
ここからは、つくる側で私たちが実際に経験したことです。
「この器を、そのままデミタスサイズに小さくしたい」という相談はよくあります。ところが、小さくするほうが難しいのが器づくりの実際です。
- 焼くと縮む:陶磁器は焼成で収縮します。私たちの器ではおよそ11%。小さい器ほど、許される寸法のズレの幅も小さくなります。60mlの器で数mlずれれば、それは体験の差になります
- 薄い口元は小径ほど難しい:口元を薄く保ったまま径を小さくすると、欠けのリスクと歩留まりが厳しくなります
- 小さくしても工程は減らない:絵付けや仕上げの手数は器の大きさに比例しないので、「小さいぶん安い」とはなりにくい
サイズが違えば型も別になります。私たちが進めた案件でも、2サイズを同時に起こすと採算が合わず、主力のサイズを先に確定させ、小さいサイズは第2弾と整理しました。私たちは3D陶器プリンターで試作を回すため、型を起こす前に実物に注いで、温度の落ち方を確かめてから寸法を決めています。
よくある質問
Q. デミタスカップとはどういう意味ですか フランス語の demi(半分)と tasse(カップ)からきた言葉で、小型のコーヒーカップのことです。そのカップに注いだ濃いコーヒーを指すこともあります。
Q. デミタスカップの容量は何mlですか 決まった規格はありません。一般的なコーヒーカップ(150ml前後)の半分程度、満水で70〜90ml前後が目安です。満水表記か適正量表記かは器によって違うので、実物で確かめてください。
Q. デミタスカップでエスプレッソを出してもいいですか 問題ありません。むしろエスプレッソカップはデミタスカップの一種と考えてよいものです。ダブルで出すなら、余白が足りるか容量を確認してください。
Q. 何客揃えればいいですか 席数の1.5〜2倍が目安です。洗浄と提供が重なる時間帯があり、小さい器は破損の補充も見込んでおくと安心です。
まとめ
デミタスカップとは、「半分のカップ」を意味する小型のコーヒーカップの呼び名です。規格名ではないので、容量や形には幅があります。満水70〜90ml前後を目安に、液量との差、満水か適正量かの表記、そして温める運用ができるかを確かめて選んでください。
エスプレッソカップとの違いは名前ほど大きくありません。呼び名ではなく、出したい一杯から選ぶ。その考え方は バリスタ目線で考える、理想のラテボウル にも通じています。
CAFORAは、瀬戸・美濃焼の技術と強化土で、バリスタが届けたい一杯から器を設計しています。小さいサイズの相談は よくあるご質問・お問合せ からどうぞ。ラテの器としては 温 -ON-・拡 -KAKU- を用意しています。

