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食器のこと2026.09.11

ボーンチャイナとは|磁器との違いと、割れやすいと言われる理由

ボーンチャイナとは|磁器との違いと、割れやすいと言われる理由

ホテルのティーカップや、少し良い洋食器の裏印で「BONE CHINA」という文字を見かけることがあります。やわらかい白で、薄くて、光にかざすと透ける。高級そうなのは分かるけれど、普通の磁器と何が違うのか。そして「薄いから割れやすいのでは」と気になる人も多いはずです。

結論から言うと、ボーンチャイナは、牛の骨灰を素地に混ぜてつくる磁器です。違いは原料にあり、それが色・透け方・強度に出ます。そして「割れやすい」というイメージは、メーカーの公表値とは一致しません。

この記事では、辞典とメーカーの公式情報をもとにボーンチャイナを整理し、カフェの器として見たときにどう判断すればいいかを、器をつくる側から書きます。

ボーンチャイナとは|骨灰を混ぜてつくる磁器

ボーンチャイナは、動物(主に牛)の骨灰を磁土やカオリンと混ぜて焼成した磁器です(出典:ボーンチャイナ|コトバンク)。「骨灰磁器」とも呼ばれます。

どれだけ骨灰が入っていればボーンチャイナなのかは、国によって基準が違います。

基準

内容

日本(JIS S 2401)

素地のリン酸三カルシウムの含有率が30%以上

イギリス

リン酸塩として最低30%

アメリカ

骨灰として少なくとも25%

出典:日本の基準は ボーンチャイナ - Wikipedia、英米の基準はコトバンク(化学辞典 第2版)

生まれたのは18世紀のイギリスです。磁器に必要な白い粘土が手に入りにくかったため、その代わりとして骨灰を使ったのが始まりとされています。日本では、ノリタケ、鳴海製陶(ナルミ)、ニッコーなどがボーンチャイナを製造しており、ナルミは1956年に量産化しています。

ボーンチャイナと磁器の違い

一般的な磁器は、骨灰を使わずに焼かれます。原料の違いが、見た目と手触りにそのまま出ます。鳴海製陶の公式解説をもとに整理します。

項目

磁器

ボーンチャイナ

原料

骨灰を含まない

骨灰(リン酸三カルシウム)を含む

白の色

冷たいホワイト(青み、または淡い灰色)

温かみのある乳白色

透光性

あり

あり

釉薬

石灰釉・滑石釉など

フリット釉。なめらかで光沢が出る

焼成温度

高い

硬質磁器より低い

出典:ボーンチャイナと磁器のはなし|鳴海製陶公式オンラインショップ。焼成温度はコトバンク(改訂新版 世界大百科事典ほか)

いちばん分かりやすい違いは白の色です。磁器の白が青みを帯びたシャープな白なのに対して、ボーンチャイナは温かみのある乳白色になります。並べると、同じ「白い器」でも印象がはっきり違います。

陶器と磁器そのものの違いは 陶器と磁器の違い に、食器の素材の全体像は 食器の素材の種類 にまとめています。ボーンチャイナは、この分類の中では「磁器の一種」に入ります。

ボーンチャイナは割れやすいのか

ここがいちばん誤解されやすいところです。

メーカーの公表では、ボーンチャイナの曲げ強度は磁器と同等かそれ以上とされています(鳴海製陶)。Wikipediaでも、一般の磁器に比べて素地が薄いにもかかわらず、欠け(チッピング)に強いとされています。つまり、素地そのものが弱いわけではありません。

それでも「割れやすい」と言われるのには、理由が3つ考えられます。

  1. 薄く作られることが多い|ボーンチャイナは薄く繊細な形に仕上げられることが多く、見た目の繊細さがそのまま「弱そう」という印象になります
  2. 「軟質磁器」という呼び方|辞典ではボーンチャイナを軟質磁器と説明することがあります。これは硬質磁器より低い温度で焼かれ、やわらかい風合いを持つという意味で、割れやすいという意味ではありません。ところが言葉だけ見ると、弱いものに聞こえます
  3. 金彩・銀彩の装飾が傷みやすい|ボーンチャイナは彩色がしやすく(コトバンク・食器・調理器具がわかる辞典)、金や銀の装飾が施されることもあります。この装飾は軟らかい金属なので、擦れや食器同士の接触で傷みます(鳴海製陶の取扱い説明より)。傷むのは素地ではなく装飾なのですが、「高い器ほど扱いに気を使う」という経験が、割れやすさのイメージにつながっているのだと思います

どの素材でも、落とせば割れます。強度の数字をどう読むかは、壊れにくい?業務用食器と家庭用食器の違い で業務用の視点から整理しています。

カフェの器としてボーンチャイナを選ぶときの注意

ボーンチャイナの乳白色と薄さは、紅茶やミルクの白を美しく見せます。一方で業務用として毎日回すなら、確認しておきたい点があります。鳴海製陶の取扱い説明で挙げられている注意をもとにまとめます。

  • 電子レンジは原則使わない|鳴海製陶は、原則として電子レンジの使用を勧めていません。金・銀の装飾がある器は、スパークが起きて絵付けがはげます
  • 食洗機は表示に従う|食洗機の中で食器同士が当たると、欠けや表面の傷の原因になります
  • 金彩は擦らない|洗うときは軟らかいスポンジで。塩素系の漂白剤は変色の原因になります
  • 急な温度変化を避ける|熱いうちに冷たいものを入れる、濡れた場所に置くといった急冷は、割れ・欠けの原因になります

つまり、ボーンチャイナは装飾のない器を、表示を守って使うなら、業務でも十分に使える素材です。気をつけるべきは素地ではなく、装飾と加熱の扱いです。

私たちCAFORAの器は、ボーンチャイナではなく強化土を使っています。チップに強く、食洗機・電子レンジに対応していて、毎日レンジで温め直し、食洗機で回す店を前提にしています。どの白が自分の店の一杯に合うかは、実物で比べるのが一番です。CAFORAの器は サンプル で確かめられます。

産地の磁器と、ボーンチャイナをどう選び分けるか

選び分けの軸はシンプルです。

  • 白の印象で選ぶ|温かみのある乳白色がほしいならボーンチャイナ。シャープで青みのある白なら磁器
  • 使い方で選ぶ|電子レンジで温め直す、金彩のない器を食洗機で大量に回す——こうした使い方が前提なら、レンジ・食洗機対応の表示がある器を選びます
  • 追加発注できるかで選ぶ|カフェの器は、割れた1客を買い足せるかどうかが日々の営業に効きます

産地の窯で焼かれる磁器が、継続供給の面でどう効くかは 瀬戸焼と美濃焼の違いとは に書きました。既製品で合う白が見つからない場合は、器そのものを作るという選択肢もあります。進め方は オリジナル食器を作る前に知っておきたいこと にまとめています。

よくある質問

Q. ボーンチャイナは本当に骨でできているのですか はい。主に牛の骨を焼いた骨灰(リン酸三カルシウム)を素地に混ぜています。日本の規格(JIS S 2401)では、その含有率が30%以上のものをボーンチャイナとしています。

Q. ボーンチャイナは電子レンジで使えますか 製品によります。鳴海製陶は原則として電子レンジの使用を勧めておらず、金・銀の装飾がある器は使えません。必ず製品の表示を確認してください。

Q. ボーンチャイナと磁器、どちらが丈夫ですか 鳴海製陶の公表では、ボーンチャイナの曲げ強度は磁器と同等かそれ以上です。ただし、どちらも落とせば割れます。業務では、素材の名前より食洗機・電子レンジの対応表示と、実際の破損の少なさで判断するのが確実です。

Q. ボーンチャイナの見分け方はありますか 裏印に「BONE CHINA」「FINE BONE CHINA」と入っていることが多いです。見た目では、温かみのある乳白色と、光にかざしたときの透け方が手がかりになります。

まとめ

ボーンチャイナとは、牛の骨灰を素地に混ぜてつくる磁器です。日本の規格では、リン酸三カルシウムを30%以上含むものを指します。磁器との違いは白の色で、ボーンチャイナは温かみのある乳白色になります。

「割れやすい」というイメージとは違い、メーカーの公表では曲げ強度は磁器と同等以上です。業務で気をつけるべきは素地ではなく、金彩の装飾と、電子レンジの扱いです。

器の白は、一杯の印象を大きく左右します。CAFORAは瀬戸・美濃焼の技術と強化土で、バリスタの理想から器を設計しています。ラテボウル 温 -ON-・拡 -KAKU- は、業務用食洗機・電子レンジに対応しています。

CAFORA