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食器のこと2026.09.08

オーダーメイド食器の作り方|相談から納品までの進め方と判断点

オーダーメイド食器の作り方|相談から納品までの進め方と判断点

自分の店のためだけの器をつくりたい。そう思ったとき、多くの人が最初につまずくのは「何から相談すればいいのか分からない」というところだと思います。デザイン画を用意すべきなのか、数と予算を先に決めるべきなのか。入口が見えないまま止まってしまうケースは、珍しくありません。

オーダーメイド食器づくりは、実際にはかなりはっきりした順番で進みます。相談 → 製造できるかの確認 → 試作 → 本生産。この4つの段階があり、それぞれに「ここを越えたら後戻りしにくい」という判断点があります。順番と判断点さえ分かっていれば、専門知識がなくても話は前に進みます。

この記事では、オーダーメイド食器が納品までにたどる道のりを段階ごとに分解し、店側が何を決めるのか、試作品の何を見るのか、そして相談前に用意しておくと早いものまでを整理します。

オーダーメイド食器は4つの段階で進む

まず全体像です。CAFORAでは、新しい形や仕様の器を世に出すまでを次の4段階に分けて進めています。段階の切れ目には「ゲート」があり、そこで合意してから次に進みます。

① デザインを決める どんな体験を届けたいのかを言葉にし、それを形・サイズ・色に落とします。ここではまだ「作れるかどうか」は問いません。理想の側から考える段階です。

② 製造できるかを確認する 決めたデザインを工程に分解し、実際に作れるか・どれくらい手間がかかるかを製造側と1工程ずつ確認します。オーダーメイド食器で一番飛ばされやすく、一番飛ばしてはいけないのがここです。塗り分けや撥水処理のように、絵で見ると簡単そうでも工程が大きく増える仕様があります。

③ 試作品をつくる 実際に焼いて、手に取って確かめます。届けたい体験が本当に成立するかは、注いで飲んでみないと分かりません。

④ 本生産して納品する 仕様を確定し、必要数を生産します。

段階を飛ばすと、たいてい後の段階で戻ってきます。デザインを顧客やSNSに出したあとで「その仕様は作れません」となるのが最悪のパターンです。②を通していない案は、まだ外に出せる案ではないと考えてください。

各段階で「店側が決めること」

オーダーメイド食器の進行が止まるとき、原因の多くは製造側ではなく発注側の未決事項にあります。段階ごとに、店側が決めるべきことを整理します。

段階

店側が決めること

決まらないと起きること

① デザイン

届けたい体験、ドリンク、形・容量の方向性、色の希望

設計が始まらない

② 実現性確認

手間の増える仕様を残すか外すか

見積もりが確定しない

③ 試作

実物を見ての合否、修正するか進むか

本生産に入れない

④ 本生産

数量、納品希望日、ロゴデータの最終版

生産枠が押さえられない

とくに②の判断は重要です。「この塗り分けは工程が増えるので単価が上がります」と言われたときに、その表現が体験に効いているのかどうかを決められるのは店側だけです。効いていないなら外す、効いているなら残して価格を受け入れる。ここを曖昧にしたまま進めると、最後に予算が合わなくなります。

なお器そのものを別注するかどうかの前提整理は オリジナル食器を作る前に知っておきたいこと にまとめています。ロゴをどう入れるかの選択肢は カフェの食器にロゴを入れる方法 が詳しいです。

試作品で見るのは「1個の出来」ではなく個体差

オーダーメイド食器で最も見落とされやすいのが、この視点です。

試作品が1個だけ届くと、人はどうしてもその1個の完成度を見ます。しかし業務用の器で本当に確かめるべきは、同じ仕様で作ったときにどれくらいバラつくかです。焼き物は土を焼いて縮めてつくるもので、収縮率はおよそ11%。この収縮が均一に起きないぶんだけ、必ず個体差が出ます。

CAFORAが試作段階で確認しているのは、次のような点です。

  • 歪み:乾燥の過程で重い部分に引っ張られて形が曲がっていないか
  • 底面のくぼみ:構造上ゼロにはならないため、どの程度の差に収まるか
  • 寸法と容量:口径・高さのばらつき。ラテなら注ぐ量に直結します
  • 接合部:取っ手など後付けの部分の形状と強度
  • 色と釉薬:色ムラ、マットと光沢の質感差、釉薬の定着
  • 重量:厚みの偏りを間接的に測る指標として

だから試作は、できれば複数個で見てください。1個だけの出来映えで合格を出すと、量産で届いた30個のうち何個かが「思っていたのと違う」ことになります。個体差は欠陥ではなく、焼き物の性質です。問題は、どこまでを許容範囲とするかを事前に決めていないことのほうにあります。

オーダーメイド食器の最小ロットと納期の現実

条件が分からないと計画が立ちません。CAFORAのラテボウルをベースにしたオーダーメイドの条件は次のとおりです。

項目

条件

最小ロット

30個/1デザイン

納期

注文確定後 約4週間(繁忙期は延長あり)

ロゴ入稿形式

PNG / JPEG / SVG

ベース商品

温 -ON-(¥1,980〜)/拡 -KAKU-(¥2,420〜)

ここで注意したいのは、納期の起点が「注文確定後」であることです。①〜③の段階、つまり相談・実現性確認・試作にかかる時間は、この4週間には含まれていません。オープン日やイベントの日付が決まっているなら、そのぶんを手前に積む必要があります。工程ごとの内訳と逆算の考え方は 別注食器の納期はどれくらい? で詳しく扱っています。

最小ロットが30個という水準は、数百個からが当たり前だったオーダーメイド食器の世界ではかなり小さい数字です。これは3D陶器プリンターで試作を起こすことで、型を先に作る前提を外しているためです。背景は 小ロットでオリジナル食器を作る方法 に書きました。

相談前に用意しておくと、話が一気に進むもの

完成したデザイン画は必要ありません。むしろ形から入ると、体験と噛み合わない器になりがちです。用意しておくと有効なのは次の5つです。

  1. どのドリンクのための器か(ラテなのかエスプレッソなのか。容量が決まります)
  2. 届けたい体験(温度を保ちたい、ラテアートを見せたい、両手で包んでほしい など)
  3. 必要数と使い方(客席用か物販用か、予備を何客持つか)
  4. ロゴデータ(PNG / JPEG / SVG。形式が揃っていないと確認が1往復増えます)
  5. 世界観の分かる写真(内装・什器・既存の器。言葉より速く伝わります)

とくに2つ目が要です。CAFORAは「理想を定義し、体験を分析し、形状を設計する」という順番で器をつくっています。先に決めるのは形ではなく体験です。「なんとなくおしゃれな器」よりも、「泡の白さを見せたいので口を広く」のほうが、はるかに設計が進みます。

よくある質問

Q. デザインの知識がなくても頼めますか 問題ありません。届けたい体験と使う場面が言葉になっていれば、そこから形状を設計していけます。デザイン画の提出は必須ではありません。

Q. オーダーメイド食器は何個から作れますか CAFORAのラテボウルは1デザインあたり30個からです。1種類に絞って、店の主力メニューを担う器から始めるのがおすすめです。

Q. 試作品は何個くらい見られますか 仕様や時期によりますが、個体差を確認する目的なら複数個での確認をおすすめしています。1個では、そのロットのばらつきが分かりません。

Q. 途中で仕様を変えられますか 段階が進むほど戻りにくくなります。形と色は試作前、ロゴは本生産前が実質的な締め切りです。逆に言えば、その手前なら遠慮なく変えてかまいません。

Q. 食洗機や電子レンジは使えますか CAFORAの器は強化土を使用し、業務用の食洗機・電子レンジに対応しています。毎日洗う前提の設計です。

まとめ

オーダーメイド食器は、①デザイン ②製造できるかの確認 ③試作 ④本生産、という4つの段階で進みます。止まる原因はたいてい発注側の未決事項にあるので、段階ごとに「自分が決めること」を把握しておくと進行が速くなります。

試作では1個の出来ではなく個体差を見ること。納期4週間の起点は注文確定後であり、相談と試作の時間は別に積むこと。そして相談の入口に必要なのはデザイン画ではなく、届けたい体験の言葉です。

CAFORAは、バリスタの理想から器の形を設計します。最小ロット30個/1デザイン、注文確定後およそ4週間。まだ形が決まっていない段階でも大丈夫です。ベースの形は 温 -ON- と 拡 -KAKU- の2種類で、サンプル1点で確かめてから、ロゴ入りの本購入(30個から)に進めます。形からの相談は お問合せ からどうぞ。

CAFORA