招き猫の陶器と磁器の選び方|作家ものの招き猫と店に置くときの見方

カフェを開くとき、レジ横にひとつ招き猫を置きたいと考える方は少なくありません。ただ、いざ探すと、陶器のもの、磁器のもの、量産品から作家ものまで幅が広く、何を基準に選べばいいのか迷います。
先に要点を書きます。陶器・磁器の招き猫を選ぶときは、素材(陶器か磁器か)、仕上げ(釉薬の艶かマットか)、つくり方(型か手か)の3つを見ると整理できます。そのうえで、店の器や内装と並べたときに佇まいが合うかで決めるのが確実です。
この記事では、招き猫の産地や団体の公式情報をもとに陶器・磁器の招き猫の見方を整理し、後半で作家・菊池俊治さんの招き猫「manekineko」を紹介します。私たちCAFORAは瀬戸と美濃で器を焼いています。
陶器の招き猫と磁器の招き猫:産地ごとの違い
招き猫は、もともと陶磁器の産地でつくられてきた縁起物です。日本招猫倶楽部は、主な産地を次のように挙げています。
現在では愛知県瀬戸市、常滑市、岐阜県多治見市、石川県金沢市や小松市などが主な産地です
二大産地とされる瀬戸と常滑について、愛知県の観光公式サイトはスリムで上品な『瀬戸系(磁器)』とずんぐりとした『常滑系(陶器)』という分け方で紹介しています(出典:Aichi Now)。瀬戸は明治30年代に日本で最初に磁器による招き猫の量産を始めた産地です(出典:来る福招き猫まつり in 瀬戸|Aichi Now)。陶器も磁器も焼く瀬戸の焼き物そのものについては 瀬戸焼とは にまとめています。ここでは、顔立ちの違いではなく素材の話に絞ります。
陶器と磁器の違いは、器の世界と同じです。
陶器 | 磁器 | |
|---|---|---|
主な原料 | 粘土(土もの) | 陶石を含む(石もの) |
見た目 | 土の表情が出る、温かみ | 白く、硬質で、細部が出やすい |
吸水性 | あるものが多い | ほとんどない |
素材ごとの性質の違いは 陶器と磁器の違い と 食器の素材の種類 にまとめています。招き猫は口をつけるものではありませんが、店先に置けば手で触れられ、ほこりもかぶります。手入れのしやすさまで考えると、素材の違いは見た目以上に効いてきます。
招き猫を選ぶときに見る3つのポイント
1. 陶器か磁器か
土の温かみを店の雰囲気に合わせたいなら陶器、白く端正な佇まいを求めるなら磁器が候補になります。白い器を中心にしている店なら磁器の白、土ものの器が多い店なら陶器、と店の器と揃えると浮きません。
2. 艶のある釉薬か、マットな肌か
招き猫の肌には、釉薬をかけて艶を出したものもあれば、後で紹介する作家ものの招き猫のように艶を抑えたマットな仕上げのものもあります。艶のある肌は汚れを拭き取りやすく、マットな肌は光を柔らかく受けます。釉薬の役割そのものは 食器の釉薬とは に書きました。
3. 型でつくるか、手でつくるか
瀬戸の招き猫は、型の技術と深く結びついています。瀬戸のノベルティは、瀬戸市の説明では原型・石こう型・鋳込み・絵付けの一連の技術でつくられてきました。招き猫ミュージアムは、招き猫をセト・ノベルティー生産の原点ともいえるもののひとつとしています(出典:招き猫ミュージアム)。型の技術については 瀬戸ノベルティとは に詳しく書きました。
型でつくれば、輪郭やエッジを正確に繰り返せます。次に紹介する菊池さんのように、作家ものにも型でつくる招き猫があり、その場合は型の設計そのものに作家の個性が出ます。
作家ものの招き猫:菊池俊治さんの「manekineko」
ここからは、作家ものの一例として、菊池俊治(きくち しゅんじ)さんの招き猫「manekineko」を紹介します。CAFORAでも コラボ商品 として取り扱っています。

菊池さんは1993年神奈川生まれ。2016年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科の陶磁専攻を卒業し、洋食器メーカーでデザイナーとして勤務しました。2022年に金沢・世界工芸トリエンナーレに入選し、2023年から石川県で活動しています(出典:niguramu デザイナープロフィール「菊池 俊治 / KIKUCHI Shunji」)。
制作の中心は白磁です。つくり方は鋳込み成型。作品を扱うAlp Shop & Studioは、この技法をこう説明しています。
鋳込み成型という、液状にした土(泥しょう)を石膏型に流し込み、型の吸水性を利用して固形化することで形を作る陶磁器の成形方法
出典:manekineko BIG - 菊池俊治|Alp Shop & Studio
同店は菊池さんの作品をエッジやカーブなどのディティールが際立つ、マットな白の色合いが美しく目を惹くと紹介しています。招き猫の基本の所作である「手を上げる」姿を残しながら、顔や体の線を簡潔にまとめているのが特徴です。洋食器のデザインを経た作家らしく、飾り物というより、器の延長にある佇まいをしています。

色は白・黒・赤があり、右手を上げたものと左手を上げたものがあります。マットな黒は、白とはまた違う静かな存在感があります。

赤は釉薬をかけず、土に顔料を練り込んで色を出しています。表面に色を塗るのではなく、素地そのものが赤いということです。

赤の底面です。顔料を土に練り込んでいるので、色は表面に塗った層ではなく、素地そのものの色です。
カフェに置くなら、器と並べて考える
招き猫ミュージアムは、招き猫を店先にちょこんと座っておいでおいでと手招きしている縁起物と紹介しています。カフェなら、レジ横やカウンターの端が定位置になるでしょう。
そこで考えたいのが、お店の器との相性です。レジ横の招き猫は、カウンターに並ぶカップやボウルと同じ視界に入ります。白い磁器の器を使っている店に白磁のマットな招き猫を置けば、店全体の印象が揃います。逆に、器と招き猫の素材や色がばらばらだと、小さな置物でも意外に目立ちます。
器を選ぶときと同じで、白の色味や肌の質感は写真では判断しにくいものです。菊池さんの manekineko はCAFORAのコラボ商品として取り扱っているので、商品ページで色やサイズ(高さ110mm)を確かめられます。器と招き猫を同じ目線で選ぶと、カウンターまわりがまとまります。
飾り方について、日本招猫倶楽部は特に決まりはありませんとしています。身近に置いていつも目に付くようにするのがよい、というのが同倶楽部の説明です。
よくある質問
Q. 招き猫は陶器と磁器のどちらがいいですか 店の雰囲気と器に合わせて選ぶのが確実です。土の温かみなら陶器、白く端正な佇まいなら磁器が候補になります。愛知県の観光公式サイトは、瀬戸系を磁器、常滑系を陶器として紹介しています。
Q. 招き猫の主な産地はどこですか 日本招猫倶楽部は、愛知県瀬戸市・常滑市、岐阜県多治見市、石川県金沢市や小松市などを主な産地として挙げています。
Q. 鋳込み成型とは何ですか 液状にした土(泥しょう)を石膏型に流し込み、型が水分を吸うことで形をつくる成形方法です。輪郭やエッジを正確に繰り返せるのが特徴です。
Q. 菊池俊治さんはどんな作家ですか 1993年神奈川生まれ。武蔵野美術大学で陶磁を学び、洋食器メーカーでデザイナーとして勤務したのち、2023年から石川県で活動しています。鋳込み成型による白磁を中心に制作しています。
Q. 招き猫はどこに置けばいいですか 日本招猫倶楽部は「特に決まりはありません」としています。昔は少し高い場所に安置してお水などを供えたようだ、とも説明しています。
まとめ
陶器・磁器の招き猫は、素材・仕上げ・つくり方の3点で見ると選びやすくなります。招き猫は瀬戸や常滑といった陶磁器の産地で育ってきた縁起物で、その多くは型の技術でつくられてきました。
作家ものの一例である菊池俊治さんの「manekineko」は、鋳込み成型による白磁を中心に、マットな肌と簡潔な線でまとめた招き猫です。カフェに置くなら、お店の器と同じ目線で素材と色を揃えると、カウンターまわりが整います。
記事で紹介した菊池俊治さんの manekineko は、CAFORAのコラボ商品として1体から購入できます。色はホワイト・レッド・ブラック・グレーの4色です。

