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食器のこと2026.09.10

オリジナルマグカップの作り方|業務用で使える品質にする条件

オリジナルマグカップの作り方|業務用で使える品質にする条件

店のロゴを入れたマグカップを作りたい。そう考えて調べ始めると、出てくるのはデザインと価格の話ばかりです。けれど実際に困るのは、届いてから先のことでした。取っ手の付け根が欠けた、同じ色のはずなのに個体差が大きい、洗い場を通すたびに口元が傷んでいく——業務用として毎日使う器では、この差が決定的になります。

オリジナルマグカップの作成でつまずくポイントは、デザインの良し悪しではありません。その形が、その作り方で、100個そろって同じ品質になるのかという一点です。ここを発注前に押さえているかどうかで、納品後の満足度がまるごと変わります。

この記事では、オリジナルマグカップを業務用に耐える品質で作るために、発注する側が知っておくべき条件を整理します。私たちが実際に瀬戸・美濃の製造現場と量産の詰めを行うなかで見えてきた、工程側の事情も含めてお伝えします。

オリジナルマグカップの作成は、作り方の選択でほぼ決まる

最初に押さえておきたいのは、陶磁器のオリジナルは「デザインを渡せば同じものが出てくる」種類のものではない、ということです。

同じ図面でも、成形方法が変われば形も厚みも重さも変わります。たとえば型に泥漿(でいしょう)を流し込んで作る鋳込み成形は、少数を作るには向いていますが、大きく重い取っ手が付いたマグカップでは、その重さに引っ張られて本体が歪みやすいという弱点があります。直線的な面が長い形ほど、その傾向は強く出ます。

一方、機械で回しながら成形する方式なら、真円性の安定したカップになります。ただしこちらは型の準備が前提になるため、1デザインあたりまとまった数を作ることで初めて成立します。

つまり「小ロットで試したい」と「毎日使っても崩れない品質がほしい」は、作り方のレベルで一度ぶつかります。ここを設計と数量の両面から解くのが、別注の最初の関門です。別注そのものの前提は オリジナル食器を作る前に知っておきたいこと に整理しています。

業務用の品質を左右する4つの構造条件

デザインの前に、まず器の構造を見ます。業務用で差が出るのは、次の4か所です。

取っ手の接合部

マグカップで最も壊れやすいのが、取っ手の付け根です。本体と取っ手を別々に成形して接合する作り方では、この接合部の強度と形状のばらつきが、そのまま歩留まりと耐久性に直結します。

取っ手を大きくデザインするほど、乾燥のあいだに自重で下がり、焼成で歪みが出やすくなります。デザイン画で「軽やか」に見える取っ手が、現物では最も壊れやすい部位になることは珍しくありません。

口元(リム)の厚みと角度

口元は、口当たりを決めると同時に、最初に欠ける場所でもあります。薄くすれば口当たりは繊細になりますが、洗い場での接触に弱くなる。厚くすれば丈夫ですが、飲み口の印象が鈍くなります。

業務用では「どこまで薄くできるか」ではなく、その店の洗浄オペレーションで割れない厚みはどこかから逆算するのが正解です。詳しくは コーヒーカップの口当たりはリムで決まる で扱っています。

高台と重心

高台(底の接地部分)の形は、安定感とスタッキング(重ね置き)の可否を左右します。取っ手が大きいマグカップは重心が横に寄るため、高台の径が小さいと倒れやすくなります。

素地(きじ)の強度

同じ「陶器」でも、土の配合によって耐久性は変わります。業務用に耐える器は、欠けにくさを持たせた強化土などで作られます。素材ごとの違いは 食器の素材の種類 にまとめました。

色と柄の入れ方で、品質もコストも変わる

オリジナルマグカップの作成で最も見積りが動くのが、色と柄の工程です。方法によって焼成回数が変わり、それが納期・破損リスク・個体差のすべてに波及します。

方法

特徴

注意点

全体を1色で施釉

工程が最も少なく、仕上がりが安定する

色数で差をつけられない

化粧土で塗り分け

境目が安定し、再現性が高い

上に透明釉をかけるため質感が限定される

上絵(手描き)

表現の自由度が高い

1個ずつの手作業。数を増やしても単価が下がらない

転写(デカール)

ロゴなど同一の柄を安定して量産できる

版の準備が必要

ここで特に伝えておきたいのが、釉薬と釉薬で上下を塗り分けるデザインの難しさです。私たちも、本体の上下で色を分ける仕様を検証しましたが、境目が円状ににじむ、色が垂れる、個体ごとに際の位置がそろわない、といった現象が出ました。1個なら美しく作れても、100個すべてで同じ境目を出すのは別の話です。

境目を安定させるには、色の分け方そのものを変える必要があります。塗り分けの位置を取っ手の接合部より上げる、境目を下げる、あるいは釉薬同士ではない方法で色を分ける——どれも「作れるかどうか」ではなく「そろうかどうか」で選ぶ判断です。

なお、手作業の加飾は担い手が限られており、希望しても受けられないことがあります。ロゴを入れる方法の選び方は カフェの食器にロゴを入れる方法 を参照してください。

ロット・納期・入稿:発注前に固めておく実務条件

品質条件が見えたら、次は数量と時間です。オリジナルマグカップの作成では、この3つを最初に握っておくと後戻りが減ります。

項目

CAFORAの条件

最小ロット

30個/1デザイン

納期

注文確定後 約4週間(繁忙期は延長あり)

ロゴ入稿形式

PNG / JPEG / SVG

ベース商品

温 -ON-(¥1,980〜)/拡 -KAKU-(¥2,420〜)

小ロットで作れる背景には、3D陶器プリンターの存在があります。型を起こさずに試作できるため、「作って、注いで、直す」というサイクルを短く回せる。この検証工程を省かないことが、結果的にいちばん失敗を減らします。数量まわりの詳細は 小ロットでオリジナル食器を作る方法 にまとめています。

発注前に決めておきたいのは、次の3点です。

  • どのメニューのための器か:ラテなのかエスプレッソなのか。容量と口径がここで決まります
  • どこまでオリジナルにするか:形状から起こすのか、既存の形にロゴだけ入れるのか
  • 何個必要か(+破損分):割れたときの買い足しは再発注になります。初回に少し多めが安全です

よくある質問

Q. サンプルと同じものが量産で届きますか

成形方法が変わる場合、形・厚み・重さは多少変わります。サンプルを試作専用の方法で作り、量産を別の方法で行うときは特にそうです。事前にどこが変わるのかを確認しておくと、納品時のギャップを防げます。

Q. マットな質感で色を分けることはできますか

分け方によります。境目を安定させる方法を選ぶと、上に透明の釉薬をかけるため艶のある仕上がりに寄ることがあります。質感とデザインのどちらを優先するかは、早い段階で決めておくと進めやすくなります。

Q. 食洗機や電子レンジで使えますか

CAFORAの器は強化土を使い、食洗機・電子レンジに対応しています。業務用では洗浄条件が耐久性を左右するため、食洗機で欠けにくい業務用食器の選び方 もあわせてご覧ください。

Q. 何個から相談できますか

30個/1デザインからです。まずは店の顔になる1種類に絞るのが、投資と効果のバランスが最も良い進め方です。

まとめ

オリジナルマグカップの作成で品質を決めるのは、デザインそのものより作り方の選択です。取っ手の接合、口元の厚み、高台と重心、素地の強度——この4か所を先に押さえる。そして色と柄は、「作れるか」ではなく「100個そろうか」で選ぶ。最後に、ロット・納期・入稿形式を発注前に固めておく。

順番を守れば、オリジナルは「特別な日の器」ではなく、毎日使える道具になります。

CAFORAは、バリスタが届けたい体験から器を設計します。温 -ON-・拡 -KAKU- は、商品ページの「本購入」から30個・店のロゴ入りで注文できます。

CAFORA