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食器のこと2026.09.16

窯変とは|窯の中で生まれる色の変化と、器の個体差の読み方

窯変とは|窯の中で生まれる色の変化と、器の個体差の読み方

焼き物の説明で「窯変(ようへん)」という言葉を見かけることがあります。「窯変の器なので一点ずつ表情が違います」と書かれていると、魅力の説明なのか、ばらつきの言い訳なのか、判断に迷うかもしれません。

結論から言うと、窯変は窯の中で起きる、予期しない色や表情の変化のことです。そして、その根っこにある仕組みは、どの焼き物にも多かれ少なかれ働いています。窯変を知ると、器の「個体差」をどう読めばいいかが分かります。

この記事では、辞典の定義をもとに窯変を整理し、瀬戸・美濃で器を焼いている立場から、カフェの器として個体差とどう付き合うかを書きます。

窯変とは|窯の中で起きる予期しない変化

辞典の定義を2つ並べます。

  • デジタル大辞泉:陶磁器を焼く際、炎の性質や釉の含有物質などが原因で、予期しない釉色・釉相を呈すること
  • 日本大百科全書(ニッポニカ):窯の中における特異な焼成変化のこと。とくに釉薬の変色をいう

出典:窯変|コトバンク

ポイントは「予期しない」と「窯の中で」の2つです。絵付けのように人が描いた模様ではなく、焼いている間に炎と材料の反応で生まれた変化を指します。読み方は「ようへん」。「かまへん」ではありません。

窯変が起こる仕組み|炎の性質と、灰・炭

日本大百科全書は、窯変を大きく2種類に分けて説明しています。

種類

何が起きているか

第1種

酸化炎・中性炎・還元炎という炎の性質の違いで、珍しい釉色・素地色になる

第2種

炎に加えて、燃料の灰や炭が素地に直接ついて還元が起こり、変色する

第1種は、窯の中の酸素の量の話です。酸素が足りない状態(還元)では、釉薬や土に含まれる鉄や銅から酸素が奪われ、色が変わります。同じ織部の釉薬が緑にも赤にもなるのはこのためで、詳しくは 還元焼成と酸化焼成の違い にまとめました。

第2種は、薪や炭で焼く窯ならではの変化です。燃料の灰が器に降りかかり、その部分だけ色や質感が変わります。灰が釉薬のように働く話は 食器の釉薬とは にも関係します。

窯の中は、場所によって温度も炎の当たり方も違います。同じ窯で同じ日に焼いても、置いた位置で表情が変わる。窯変は、その差がとくに大きく、しかも美しく出たものだと言えます。

窯変と曜変天目の関係

窯変という言葉と一緒によく出てくるのが「曜変天目」です。

日本大百科全書は、窯変の装飾効果が貴ばれた例として、天目茶碗の兎毫斑(とごうはん)・油滴天目・曜変天目を挙げています。世界大百科事典(旧版)も、焼成時に釉中の鉄分が変化して結晶の斑文ができるものを「兎毫、油滴、曜変などと呼び分けている」としています。精選版日本国語大辞典では「曜変」の表記として「窰変」も挙げられています。

出典:曜変|コトバンク

つまり曜変天目は、窯の中で偶然に生まれた変化が、もっとも高く評価された姿のひとつです。美濃でも天目茶碗は焼かれてきました。その話は 天目茶碗とは に書いています。美濃焼全体の様式の幅は 美濃焼とは にまとめています。

カフェの器で、窯変と個体差をどう読むか

ここからは器をつくる側の話です。カフェの器にとって、窯変は「魅力」と「ばらつき」の両面を持っています。

1. 一点ものの表情として楽しむ器か、揃えて使う器かを先に決める|作家ものの一客なら、窯変はそのまま魅力です。一方、同じ器を30客並べて毎日使うなら、揃っていることの価値が大きくなります。どちらを求めるかで、選ぶ器が変わります。

2. 焼き方を確認する|還元で焼く器は色に揺らぎが出やすく、酸化で焼く器は色を揃えやすい傾向があります。私たちも窯元と量産を検討したとき、同じ白い釉薬でも酸化ではやや黄寄り、還元ではやや青寄りになる前提で色味を決めました。

3. 許容範囲を言葉にしておく|焼き物である以上、色の差はゼロになりません。どこまでを「同じ色」とみなすかを、発注前に共有しておくと、届いてから迷いません。

4. サンプルは本番と同じ窯で焼いたものを見る|別の窯で焼いたサンプルで色を決めると、量産品と印象がずれます。

器の色と表情は、写真ではほとんど伝わりません。瀬戸・美濃で焼いたCAFORAの器は サンプル で実物を確かめられます(サンプルはグレーです)。店内の光の下で、ミルクを注いで見てもらうのがいちばん確実です。

なお、使っているうちに釉薬の表面に入る細かなひびは、窯変とは別の現象です。こちらは 陶器の貫入とは で扱っています。

よくある質問

Q. 窯変の読み方は? 「ようへん」です。

Q. 窯変は不良品ですか 不良ではありません。窯の中で起きる焼成の変化で、装飾の効果として貴ばれてきたものです。ただし、揃いの器として発注した場合は、事前に決めた許容範囲に照らして判断します。

Q. 窯変と曜変は同じものですか 曜変天目は、天目茶碗に現れた窯の中の変化のうち、特に評価の高いものの呼び名です。辞典では「曜変」の表記として「窰変」も挙げられています。

Q. 電気窯でも窯変は起きますか 電気窯は基本的に酸化焼成の窯で、燃料の灰も出ないため、辞典が挙げる2種類の変化はどちらも起きにくくなります。そのぶん色を揃えやすい窯です。

まとめ

窯変とは、窯の中の炎の性質や、燃料の灰・炭の働きで、器の色や釉の表情が予期せず変わることです。その極みとして評価されてきたのが曜変天目です。

カフェの器として見るなら、窯変は「一点ものの魅力」にも「揃いのばらつき」にもなります。揃えて使うか、表情を楽しむかを先に決め、焼き方と許容範囲を確かめる。これで、届いた器を見て迷うことはほとんどなくなります。

CAFORAは瀬戸・美濃焼の技術のうえで、色味まで含めてバリスタと器を設計しています。焼き上がりの質感は、温 -ON-・拡 -KAKU- のサンプル1点から実物で確かめられます。

CAFORA