出石焼とは|柿谷陶石の白磁の特徴と歴史、カフェの器での見方

白い器は、どれも同じ白に見えるかもしれません。けれども並べてみると、青みのある白、黄みのある白、透けるような白と、産地ごとに表情が違います。兵庫県の城下町・出石には、その「白」で知られる焼き物があります。
先に要点を書きます。出石焼とは、兵庫県豊岡市出石で焼かれている白磁です。地元でとれる柿谷陶石を原料にし、透明感のある徹底した純白が特徴とされています。1784年の開窯に始まり、1980年に国の伝統的工芸品に指定されました。
この記事では、兵庫県が公開している地場産業の解説と、観光庁の多言語解説文データベースをもとに、出石焼の特徴と歴史を整理します。そのうえで、瀬戸と美濃で器を焼いている立場から、カフェの器として白磁を見るときの判断軸をお伝えします。
出石焼とは:柿谷陶石でつくる純白の磁器
出石焼の見た目について、観光庁の多言語解説文データベースはこう書いています。
出石焼は、出石地域に根ざす独特の形状をした磁器で、透明感のある徹底した純白が特徴です
その白さを生んでいるのが、原料の柿谷陶石です。同じ解説は、柿谷陶石が「濁りのない自然な白さ」で知られ、焼き上げると澄み切った白になること、そしてこの陶石のおかげで滑らかできめの細かい仕上げでも名を馳せていることを挙げています。
陶石とは、粘土ではなく石を砕いてつくる、磁器の原料です。陶器と磁器の違いは、まさにこの原料の違いから始まります。くわしくは 陶器と磁器の違い と 食器の素材の種類 にまとめています。
項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
産地 | 兵庫県豊岡市出石 | 兵庫県 |
種類 | 磁器(白磁) | 観光庁 多言語解説文DB |
原料 | 柿谷陶石 | 観光庁 多言語解説文DB |
特徴 | 透明感のある徹底した純白 | 観光庁 多言語解説文DB |
伝統的工芸品の指定 | 1980年(昭和55年)3月 | 兵庫県 |
出石焼の歴史:土焼窯から白磁の産地へ
出石焼の歴史を、兵庫県の地場産業の解説ページは次のように整理しています。
年代 | 出来事 |
|---|---|
垂仁天皇の時代(伝承) | 天日槍命が陶士を連れて但馬出石に来て、食器類を焼いたのが始まりとされる |
1784年(天明4年) | 伊豆屋弥左衛門が出石郡細見村に土焼窯を開く |
1789年(寛政元年) | 二八屋珍左衛門が出石町谷山の柿谷で白色の原石を見つける。これが現在の出石焼の基礎になった |
安政期(幕末) | 染付師の鹿児島屋粛平が優れた作品を生む |
明治初年 | 士族の職業訓練として佐賀県から陶工を招き、白磁彫刻などの美術品もつくられる |
1902年(明治35年) | 米国セントルイスの万国博覧会で金賞を受賞 |
1980年(昭和55年)3月 | 通商産業大臣から伝統的工芸品に指定 |
出典:出石焼|兵庫県
白磁に重きを置いた時期は資料で分かれる
始まりの年は、どちらの資料も1784年で一致しています。一方で、白磁に重きを置くようになった時期は資料で書き方が違います。兵庫県は1789年の白色原石の発見を現在の出石焼の基礎としています。観光庁の解説は、白磁に重点を置くようになったのは1793年になってからとしています。
もう一つ、どちらの資料も佐賀県とのつながりに触れています。観光庁の解説は、白磁の技術が有田焼の貿易で知られた佐賀県から持ち込まれたとし、兵庫県は明治初年に佐賀県から陶工を招いたと書いています。日本で最初の磁器の産地については 有田焼とは にまとめています。
磁器の技術が九州から各地へ伝わった流れは、瀬戸にもあります。瀬戸に磁器をもたらした人物については 加藤民吉とは をご覧ください。
出石焼の器:皿そばの皿から花瓶まで
出石は、出石皿そばの町としても知られています。観光庁の解説は、出石城下町の店で見られる出石焼として、出石皿そば用の皿や鉢、カップから、花瓶や風鈴のような装飾性の高いものまでを挙げています。
日々の食卓で使う器と、美術品としての白磁。その両方がある産地です。兵庫県の解説にある明治の白磁彫刻や、セントルイス万博の金賞作品は後者の系譜にあたります。
日本の産地全体の中で出石焼がどこに位置するかは、日本の焼き物の種類 で見取り図にしています。白磁の産地としては、厚手の白磁で知られる 砥部焼 と見比べると違いがつかみやすくなります。
白の色味や透け感は、写真ではほとんど分かりません。 CAFORAの器も、サンプル で実際の質感を手に取って確かめられます(サンプルはグレーです)。
カフェの器として出石焼を見るときの判断軸
私たちCAFORAは瀬戸と美濃で器を焼いています。つくる側から見ると、出石焼は「白そのもので選ぶ産地」です。その白が業務用でどう働くかを分けて考えると、選びやすくなります。
1. 白の色味をラテと並べて確かめる 純白の器は、ミルクの白とエスプレッソの茶をはっきり見せます。一方で、店の照明によっては白が冷たく見えることもあります。実際のドリンクを注いで、店の明かりの下で見てください。
2. 薄さと丈夫さのバランスを見る きめの細かい白磁は、繊細な仕上げにも向きます。業務用では、洗い場で重ねたときに縁が欠けないかが大事です。手に取って縁の厚みを確かめてください。
3. 器の種類がそろうかを聞く 皿・鉢・カップと幅広くつくられている産地ですが、窯元ごとにつくる物は違います。カップとソーサー、デザート皿まで同じ白でそろえたいなら、最初に確認しておくと安心です。
4. 扱いの条件は製品ごとに確認する 電子レンジ・食洗機の可否は、産地名では決まりません。上絵付けがある器は特に、製品ごとの確認が欠かせません。絵付けの違いは 上絵付けと下絵付けの違い にまとめています。
よくある質問
Q. 出石焼はどこでつくられていますか 兵庫県豊岡市の出石です。問い合わせ先の出石焼陶友会は、豊岡市出石町の但馬國出石観光協会内にあります。
Q. 出石焼は陶器ですか、磁器ですか 磁器です。観光庁の解説は、柿谷陶石からつくる磁器で、透明感のある徹底した純白が特徴だとしています。
Q. 出石焼はいつから焼かれていますか 兵庫県と観光庁の資料はいずれも、1784年に伊豆屋弥左衛門が窯を開いたことを始まりとしています。兵庫県は、垂仁天皇の時代に天日槍命が陶士を連れて来たという伝承も紹介しています。
Q. 出石焼が白磁になったのはいつですか 兵庫県は1789年に柿谷で白色の原石が見つかったことを現在の出石焼の基礎としています。観光庁の解説は、白磁に重点を置くようになったのは1793年からとしています。
Q. 出石焼はいつ伝統的工芸品に指定されましたか 兵庫県によれば、1980年(昭和55年)3月に通商産業大臣から指定されています。
Q. 出石焼はカフェの業務用に使えますか 使えます。ただし縁の厚み、器の種類のそろえやすさ、電子レンジ・食洗機の可否は窯元や製品によって違います。製品ごとに確認してください。
まとめ
出石焼とは、兵庫県豊岡市出石で焼かれている白磁です。原料の柿谷陶石が、透明感のある徹底した純白と、きめの細かい仕上げを生んでいます。
1784年の開窯に始まり、柿谷での白色原石の発見を経て白磁の産地になりました。明治にはセントルイス万博で金賞を受け、1980年に伝統的工芸品に指定されています。
カフェで使うなら、白の色味・縁の厚み・器のそろえやすさを、実物を手に取って確かめるのが確実です。
CAFORAは、瀬戸と美濃の技術のうえで、バリスタの理想から器を設計しています。出石焼の器と比べてみたくなったら、瀬戸・美濃で焼いたラテボウル、両手で包む 温 -ON- と、ラテアートを広く見せる 拡 -KAKU- もご覧ください。サンプルは1点から購入できます。

