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食器のこと2026.09.19

丹波焼とは|登り窯の灰がつくる器の特徴と、カフェの器での生かし方

丹波焼とは|登り窯の灰がつくる器の特徴と、カフェの器での生かし方

丹波焼(たんばやき)は、六古窯のなかでも少し性格が違う産地です。備前や信楽が「釉薬を使わない焼き締め」で知られるのに対し、丹波は灰からつくる釉薬を積極的に使ってきました。

先に要点を書きます。丹波焼は兵庫県丹波篠山市今田町の立杭を中心に、800年続く六古窯のひとつです。特徴は3つ。登り窯で三日三晩焼くこと、その間に灰が溶けて器にかかる自然釉、そして日本では珍しい左回転の蹴ろくろ。

この記事では、日本六古窯の公式サイト・兵庫県・丹波篠山市の観光公式サイトの記述をもとに丹波焼を整理します。そのうえで、瀬戸と美濃で器を焼いている立場から、カフェの器として丹波焼を見るときの判断軸をお伝えします。

丹波焼とは:兵庫県丹波篠山市・立杭の、六古窯のひとつ

丹波焼は、兵庫県丹波篠山市今田町の立杭エリアで焼かれてきたやきものです。日本六古窯の公式サイトは立地を「虚空蔵山と和田寺山に挟まれ、四斗谷川を有する山間」と記しています。

まず、名前の話を片づけておきます。丹波篠山市の観光公式サイトは、こう書いています。

「立杭焼」と何が違うの?と聞かれますが、答えは「同じもの」です。「丹波立杭焼」という言葉もあります

出典:日本六古窯「丹波焼」の魅力・焼物の郷めぐり|丹波篠山市公式観光サイト

丹波焼・立杭焼・丹波立杭焼は、すべて同じものを指します。 国の伝統的工芸品としての登録名は「丹波立杭焼」で、兵庫県のページによれば「昭和53年(1978年)2月に通商産業大臣より『丹波立杭焼』の名称で国の伝統的工芸品に指定された」とあります。

歴史は、日本六古窯の公式サイトが「丹波焼の発祥は、平安時代末期から鎌倉時代初期にさかのぼります」としています。丹波篠山市の観光公式サイトは「800年続く」と表現しています。現在も立杭エリアには約60件の窯元が点在しています。

六古窯という枠組みと6産地の比較は 六古窯とは に、同じ六古窯の 信楽焼とは・越前焼とは もそれぞれまとめています。

丹波焼の特徴は「登り窯で三日三晩」と「灰がつくる景色」

三日三晩、1300℃で焼き続ける

丹波焼を語るうえで中心にあるのが、登り窯での焼成です。丹波篠山市の観光公式サイトは、代表的なものを「登窯(のぼりがま)で焼く赤土部(あかどべ)」とし、焼成の実際をこう書いています。

「登り窯」では、三日三晩1300℃にもなる炎で焼き続けます

そのあいだに何が起きるか。同サイトは続けてこう説明しています。

その焼き物に窯の中で灰が被り、その灰が液体となり焼き物に唯一無二の色と柄が現れ、「炎の芸術」と言われる作品です

薪の灰が器に降り積もり、高温で溶けてガラス質になる。 これが自然釉です。日本六古窯の公式サイトも丹波の魅力を「灰による明るい自然釉が見事な装飾となる」とまとめています。

器をつくる側から見ると、これは「焼成中に装飾が起きている」ということです。絵付けのように後から足すのではなく、窯のどこに置いたか・どれだけ灰をかぶったかが、そのまま模様になる。だから1点ずつ違います。

窯は穴窯から登り窯へ変わった

丹波でも、最初から登り窯だったわけではありません。日本六古窯の公式サイトによれば、当初は「山腹に溝を掘り込み、天井をつけた『穴窯』を用いて」焼成しており、「慶長末期に入ると、朝鮮式半地上の登り窯が導入」されました。

窯の形が変わると、焼き上がりも生産量も変わります。その違いは 登り窯と穴窯の違い で詳しく書きました。

丹波は「灰の釉薬」を使う産地

ここが丹波焼のいちばん面白いところです。六古窯というと釉薬を掛けない焼き締めのイメージが強いのですが、丹波は違います。日本六古窯の公式サイトは、丹波で使われる釉薬を具体的に挙げています。

木灰釉を中心として、ワラ灰、栗のイガ灰などを使用

さらに「その他土灰釉・鉄釉(黒釉)・白釉なども使用」とあります。兵庫県のページも「灰釉、赤土部釉、石黒釉等の釉薬も使用」と記しています。

栗のイガの灰まで釉薬にする。 植物の灰を焼き物の釉薬にする仕組みそのものは 灰釉とは に、釉薬という層が器に何をしているのかは 食器の釉薬とは にまとめました。

つまり丹波焼には、窯の中で偶然かかる自然釉と、人が意図して掛ける灰の釉薬の両方があるということです。「六古窯=焼き締め」と一括りにできない産地です。

私たちCAFORAも瀬戸・美濃で釉薬を掛けた器を焼いていますが、灰を原料にした釉薬は焼成条件で発色が動きます。同じ体験を店で再現したいのか、1点ずつの違いを見せたいのかで、選ぶべき器は変わります。CAFORAは前者の考え方で設計しているので、口当たりや温度の残り方は サンプル で確かめられます。

日本では珍しい、左回転の蹴ろくろ

もうひとつ、丹波を特徴づける技術があります。ろくろの回る向きです。

日本六古窯の公式サイトは、丹波に導入されたろくろを「蹴りロクロ(日本では珍しい立杭独特の左回転ロクロ)」と記しています。兵庫県のページも、成型は「立杭独特の左回転で蹴ロクロを用い」ており「登窯とともに伝統技術を受け継いでいる」としています。

日本のろくろは右回転が一般的で、左回転は立杭の独自技術です。足で蹴って回す蹴ろくろは、電動ろくろのように一定の速度で回り続けるわけではありません。技術が器の形に直接出る、産地の個性そのものと言えます。

作られてきたものは幅広く、兵庫県のページは「工芸民芸品(花器、茶器、茶碗、食器、装飾品、置物等)及び工業品(植木鉢、酒樽等)」を挙げています。

カフェの器として丹波焼を見るときの判断軸

魅力のある産地ですが、店で毎日使う器として見るときは、確かめておきたいことがあります。

1. 自然釉の器は、1点ずつ表情が違う 灰のかかり方は窯の中の置き場所で変わります。それが丹波の良さですが、30客を同じ顔でそろえるのには向きません。個体差を見せる器として使うのか、定番として揃えるのかを先に決めてください。

2. 釉薬の種類で性格が変わる 丹波は木灰釉・赤土部釉・鉄釉・白釉と幅があります。「丹波焼だからこう」とは言えないので、その器がどの釉薬で、表面がどういう状態かを個別に確認してください。

3. 食洗機・電子レンジの可否は産地名では決まらない 産地ではなく製品ごとの表示と、つくり手への確認で判断します。産地名で器の性格を決めつけられないという話は 日本の焼き物の種類 にまとめています。

4. 後から買い足せるか 業務で使えば器は必ず割れます。約60の窯元がある産地なので、どの窯元のどの仕様かまで記録しておくと、追加発注のときに困りません。

よくある質問

Q. 丹波焼と立杭焼は違うものですか 同じものです。丹波篠山市の観光公式サイトは「答えは『同じもの』です。『丹波立杭焼』という言葉もあります」と明記しています。国の伝統的工芸品としての名称は「丹波立杭焼」です。

Q. 丹波焼はどこでつくられていますか 兵庫県丹波篠山市今田町の立杭エリアです。虚空蔵山と和田寺山に挟まれた山間にあり、現在も約60件の窯元が点在しています。

Q. 丹波焼はいつから始まりましたか 日本六古窯の公式サイトは「平安時代末期から鎌倉時代初期にさかのぼります」としています。丹波篠山市の観光公式サイトは「800年続く」と表現しています。

Q. 丹波焼は釉薬を使いますか 使います。日本六古窯の公式サイトは「木灰釉を中心として、ワラ灰、栗のイガ灰などを使用」とし、鉄釉・白釉なども挙げています。加えて、登り窯の中で灰が溶けてかかる自然釉もあります。

Q. 丹波焼はカフェの器として使えますか 使えます。ただし自然釉は1点ずつ表情が変わり、釉薬の種類によって表面の性格も違います。そろえる数・追加発注・洗浄条件を確認してから選んでください。

まとめ

丹波焼とは、兵庫県丹波篠山市今田町の立杭を中心に、平安時代末期から800年続いてきた六古窯のひとつです。丹波焼・立杭焼・丹波立杭焼はすべて同じものを指します。

特徴は3つ。登り窯で三日三晩1300℃で焼くこと、その間に灰が溶けてかかる自然釉、そして日本では珍しい左回転の蹴ろくろ。さらに丹波は、木灰釉・ワラ灰・栗のイガ灰といった灰からつくる釉薬を人の手でも掛ける産地で、「六古窯=焼き締め」では説明しきれません。

カフェの器として選ぶときは、産地名ではなく、個体差・釉薬の種類・洗浄条件・追加発注の4点で見るのが確実です。

CAFORAは、瀬戸と美濃の技術のうえで、バリスタの理想から器を設計しています。丹波焼の器と比べてみたくなったら、瀬戸・美濃で焼いたラテボウル、両手で包む 温 -ON- と、ラテアートを広く見せる 拡 -KAKU- もご覧ください。サンプルは1点から購入できます。

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